Googleの「投稿」機能を続ける最小の運用
月1回で回すネタの作り方
Googleビジネスプロフィールには、医院から情報を発信できる「投稿」という機能があります。医院名で検索した患者さんの画面に、医院のお知らせを表示できる場所です。
ただ、この投稿は「始めたものの3回で止まった」という医院が少なくありません。理由はシンプルで、毎回ゼロからネタを考える運用は続かないからです。逆に言えば、ネタの作り方と頻度の置き方さえ先に決めておけば、月に1回・1回15分程度の作業として回していけます。
この記事では、無理なく続けるための「最小の運用」を整理します。投稿で集客効果を約束する話ではありません。あくまで、患者さんが医院名で検索したときに「今の医院の様子」が伝わる状態を保つための実務です。
まず前提: 投稿は「おまけ」の発信で、本筋は基本情報
最初に線引きをしておきます。Googleビジネスプロフィールで患者さんの役に立つ順番は、おおむね次の通りです。
- 医院名・住所・電話番号などの基本情報が正しいこと
- 診療時間・休診日が正確に保たれていること
- 口コミに返信が回っていること
- 写真が古すぎないこと
- 投稿で最近の様子が伝わること
投稿は5番目です。診療時間が間違っている、年末年始の休診が反映されていない、といった状態で投稿だけ更新しても意味が薄れます。投稿はあくまで「基本が整っている医院が、最近の動きを添える」ための機能と捉えてください。
投稿の種類は3つ
Googleの投稿には大きく分けて種類があります(仕様は変更されることがあるため、最新の表示は管理画面でご確認ください)。
1. 最新情報
日常のお知らせ全般に使う、汎用の投稿です。写真と文章、そして必要に応じてリンク(「詳細」「予約」などのボタン)を付けられます。この記事で扱う月1回の投稿は、基本的にこの「最新情報」で回します。
2. イベント
期間が決まっている案内に使う投稿です。開始日と終了日を設定できます。歯科医院では出番は多くありませんが、たとえば期間限定の院内案内(無料相談日の設定など、医院が実施しているもの)がある場合に使えます。
3. 特典
割引やキャンペーンの訴求に使う投稿です。歯科医院では取り扱いに注意が要ります。医療広告ガイドラインでは、費用を前面に出した誘引や、効果をうたう表現に制限があります。「期間限定」「今だけ」といった煽る表現や、治療効果を示唆する文言は避けるべきです。迷うものは「特典」投稿にせず、事実だけを伝える「最新情報」に留めるのが安全です。
続かない原因は「ネタ切れ」より「決めていないこと」
投稿が止まる医院のパターンは、だいたい次の3つに集約されます。
- 担当が決まっていない: 「誰かやるだろう」で止まる
- 頻度の目安がない: 「思いついたら」では思いつかない
- ネタを毎回発明している: ゼロから考えるので1回が重い
対策は逆です。担当を1人(と不在時の代わり1人)に決め、頻度は「月1回」と置き、ネタは前もって1年分の引き出しを用意しておく。これだけで「今月は何を書こう」の悩みは消えます。
ネタの引き出し: 月ごとの定番テーマ
歯科医院の投稿ネタは、季節の繰り返しでほぼ埋まります。以下は一例です。自院の診療体制に合わせて調整してください。
| 月 | ネタの例 |
|---|---|
| 1月 | 年始の診療開始のお知らせ、新年の検診の案内 |
| 2月 | 年度末に向けた検診の案内、花粉の時期の過ごし方(一般的な内容) |
| 3月 | 春休みの子どもの検診案内、転勤・進学前の受診の案内 |
| 4月 | 新年度の診療体制のお知らせ、GWの診療日案内 |
| 5月 | GW明けの診療案内、梅雨前の検診案内 |
| 6月 | 歯と口の健康週間(6月上旬)に合わせた検診の案内 |
| 7月 | お盆の診療日案内、夏休みの子どもの検診案内 |
| 8月 | お盆明けの診療案内、夏の食生活と歯の一般的な話題 |
| 9月 | 秋の検診案内、敬老の日にちなんだ話題(一般的な内容) |
| 10月 | 年末に向けた治療・検診の計画の案内 |
| 11月 | 年末年始の休診案内(日程が決まり次第) |
| 12月 | 年内の最終診療日、年始の開始日の案内 |
ここに、医院固有のネタを差し込みます。
- 設備や機器を新しく入れたとき(事実の紹介まで。効果の断定はしない)
- 診療体制・担当医の変更があったとき
- 待合室や院内の模様替えをしたとき
- 地域の行事に合わせたお知らせ
注意したいのは、休診・診療時間の変更は投稿だけで済ませないことです。診療時間の設定そのもの(特別営業時間の設定など)を直すのが本筋で、投稿は「補足のお知らせ」です。患者さんが投稿だけを見て来院するとは限りません。順番を間違えないでください。
1回の投稿の作り方
1回の投稿は、次の型で作ると毎回迷いません。
- 写真1枚: 院内・外観・スタッフの作業風景など。患者さんが写る写真は本人の同意が前提です。フリー素材の「歯科らしい写真」は医院の実態と違う印象を与えるので避けます
- 本文は3〜5行: 何のお知らせか、いつからか、患者さんにどうしてほしいか(予約方法など)を簡潔に
- ボタンは1つ: 予約ページや医院サイトへのリンクがある場合のみ設定。リンク先が正しいか投稿前に必ず確認します
書くときの注意は口コミ返信と同じです。
- 治療の効果を断定する表現(「白くなります」「痛くありません」など)は書かない
- 患者さんの体験談・感想を宣伝に使わない
- 症状や治療内容についての個別の判断に踏み込まない
- 費用の訴求は医療広告ガイドラインの範囲を守り、迷う表現は院長に確認する
公開前には、院長または決めた確認者が一度目を通すフローを置いてください。下書きは担当者が作り、公開の判断は人が行う。この分担が崩れると、投稿は「忙しいから後回し」か「確認なしの公開」のどちらかに寄ってしまいます。
本文の書き方: 良い例・悪い例
短い文面でも、書き方で印象は変わります。検診の案内を例に、型を示します(以下は文面の形式を示す例で、特定の医院の実績ではありません)。
悪い例:「当院では最新の設備で痛くない治療を行っており、多くの患者様に喜ばれています!今なら検診がお得です。ぜひご来院ください!!」
問題点が3つあります。「痛くない」は効果の断定、「多くの患者様に喜ばれています」は体験談めいた宣伝、「お得」は費用の誘引です。医療広告ガイドラインの観点からも避けるべき表現が重なっています。
良い例(型):「○月の定期検診のご案内です。前回の検診から半年が経つ方は、ご予約の時期になりました。ご予約はお電話、またはホームページの予約ページから受け付けています。年末は混み合いますので、お早めのご予約がおすすめです。」
事実(時期の目安)と、患者さんに取ってほしい行動(予約方法)だけを書いています。これで十分伝わります。迷ったら「事実だけに削る」が合言葉です。
写真は「自院の今」を撮る
投稿の写真は、撮影のハードルを下げておくことが続けるコツです。
- スマートフォンのカメラで十分です。明るい時間帯に、待合室・受付・外観を撮るだけで使えます
- 患者さんが写り込む構図は避けます。写す場合は本人の同意が前提です
- 診療中の写真は、衛生面・安全面の印象も含め、医院の方針に沿って判断してください
- 季節の飾り付けや掲示物など「今の様子」が伝わるものは、投稿のネタと写真が同時に用意できて効率的です
写真を撮りためておく担当とタイミング(例: 月初に投稿を作るときに一緒に撮る)を決めておくと、投稿作成のたびに撮影で詰まりません。
公開後の確認と、編集・削除
投稿したら終わりではなく、患者さんの側の画面で一度確認してください。Google検索やGoogleマップで自院名を検索し、投稿が意図通り表示されているか、リンクボタンが正しいページに飛ぶかを見ます。
- 文章の誤りに気づいたら、管理画面から編集または削除ができます
- 古いお知らせ(終了した期間の案内など)は、時期が過ぎたら削除するか、新しい投稿に埋もれる前に整理します。「去年の年末年始の休診案内」が夏に残っている状態は避けたいところです
- 投稿の表示の仕方や並び方はGoogle側の仕様で変わることがあります。「出ているはず」の前提で終わらせず、目視確認までを作業に含めてください
担当が替わっても止まらないために
投稿が止まるもう一つの典型は、担当者の異動・退職です。対策はシンプルで、この記事で書いた「ネタ表」「作り方の型」「投稿履歴の一覧」を、個人の頭の中ではなく医院の共有フォルダに置くことです。引き継ぎのときに渡すものが決まっていれば、新しい担当は先月の投稿を真似るところから始められます。運用は人に付けるのではなく、型に付ける。これが月1回投稿を何年も続けるための、実は一番大事な部分です。
ネタに困ったときは「院内で取材」する
定番表を使い切った、あるいは医院固有のネタを増やしたいときは、受付から院内へ小さな取材をします。聞くことは3つだけです。
- 直近で新しく始めたこと、変えたことはあるか(機器・材料・院内の動線など)
- 患者さんからよく受ける質問で、来院前に知っておいてほしいことはあるか
- 院長が患者さんに伝えたいと思っていることはあるか
たとえば「よく受ける質問」への回答は、そのまま投稿のネタになります。「初めての方へ——初診の流れ」といった案内は、宣伝ではなく患者さんの不安を減らす情報として投稿に向いています。ただし、症状や治療の判断に関わる内容は投稿で扱いません。一般的な手続きの案内に留め、個別のことは診療の場で、が線引きです。
また、投稿の文章を考えるのが負担なら、下書きづくりにAIを使う方法もあります。季節の案内文のたたき台を作る、言い回しの候補を出す、といった裏側の作業はAIの得意分野です。ただし、公開前の確認は必ず人が行い、医療広告ガイドラインに触れる表現がないかをチェックしてください。下書きはAI、接点と判断は人間。この分担を守れば、月1回の作業時間はさらに短くできます。
よくある疑問
Q. 投稿はどれくらいで表示されますか?通常は公開後まもなく表示されますが、反映のタイミングは保証されません。「出したのに見えない」ときは、患者さんの側の画面で検索し直して確認してください。表示されない状態が続く場合は、投稿内容がポリシーに触れていないかも含め、管理画面の案内を確認します。
Q. 週1回や毎日出した方が効果はありますか?頻度そのものが成果に直結する、という約束はできません。この記事が月1回を勧めるのは「続けられる最小単位」だからです。月1回を1年続けた医院と、がんばって3ヶ月で止まった医院では、前者のプロフィールの方が「今の医院の様子」が伝わる状態を保てます。
Q. 過去の投稿は残しておいていいですか?期間が過ぎた案内(休診日程や終了した行事)は、誤解のもとになるので削除を検討してください。それ以外の一般的な案内は、積み重ねとして残して問題ありません。半年に一度、古い投稿の一覧を眺める時間を取ると整理が楽です。
月1回の運用カレンダー
実際の回し方は、たとえばこうです。
- 月初の決まった日(例: 第1営業日)に、その月の投稿を作る担当が下書きを用意する
- 確認者がチェックし、問題なければ公開する
- 投稿した日と内容をメモに残す(何月に何を出したかの一覧があると、来年の同じ月にそのまま使い回せます)
この「残す」が効きます。1年回すと、翌年は去年の一覧をなぞるだけで済むようになります。投稿運用が「続く仕組み」になるかどうかは、ネタの鮮度よりも、この記録があるかで決まります。
また、月1回で手一杯なら、それ以上増やす必要はありません。週に何度も出すこと自体に意味があるわけではなく、古いお知らせが半年以上残っていない、季節の案内が追いついている、という状態が保てれば十分です。
やらない方がいいこと
- 同じ内容の連投: コピーしただけの投稿を繰り返すと、患者さんにも「手を抜いている」印象を与えます
- セールス色の強い文面: 割引や無料を前面に出す訴求は、医療広告ガイドラインとの関係でも避けるのが無難です
- 投稿に休診情報を頼る: 前述の通り、診療時間の設定変更が本筋です
- 口コミへの誘導: 「口コミを書いてください」と投稿で呼びかけるのは、口コミの依頼設計全体の話であり、投稿単体で気軽に行うものではありません。選別的な依頼(満足した方にだけお願いする等)はGoogleのポリシーで禁止されています
まとめ: 投稿運用の最小セット
- 投稿は基本情報・診療時間・口コミ返信が整った上での「最近の様子」の発信と位置づける
- 担当1人+代わり1人、頻度は月1回と先に決める
- ネタは季節の定番表で1年分の引き出しを作り、医院固有の出来事を差し込む
- 1回は写真1枚・本文3〜5行・ボタン1つの型で作り、公開前に人の確認を通す
- 投稿した内容は一覧に残し、翌年の運用に使い回す
※Googleビジネスプロフィールの仕様・投稿の種類・表示方法は変更されることがあります。本記事は一般的な運用の整理であり、最新の仕様はGoogleの公式ヘルプでご確認ください。医療広告ガイドラインに関わる表現で迷う場合は、院長や専門家に確認してください。
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