Googleビジネスプロフィールの登録とオーナー確認の手順
患者さんが歯科医院を探すとき、多くの場合はGoogle検索かGoogleマップで医院名や「近くの歯医者」を調べます。そのときに表示される医院の情報(住所・診療時間・写真・口コミ)を管理する土台が、Googleビジネスプロフィールです。
問題は、「うちは登録したことがない」という医院でも、Googleマップ上に医院情報が表示されていることが少なくないことです。地図の情報は、公的なデータやユーザーの投稿から自動で作られる場合があるためです。ただし、自動で作られただけの状態では、診療時間の修正も、口コミへの返信も、医院側では行えません。医院として公式に管理するには、「登録」と「オーナー確認」の2つを済ませる必要があります。
この記事は、その最初の一歩の手順を整理したものです。すでに口コミ返信などの運用を始めている医院向けの内容ではなく、まだ土台ができていない医院が、どこから手をつけるかに絞って説明します。
※Googleの画面や手順は変更されることがあります。最終的な操作は、その時点のGoogle公式ヘルプの案内に沿って進めてください。本記事は2026年11月時点の一般的な流れをもとにしています。
まず確認: 自院のプロフィールは「管理できる状態」か
登録作業の前に、今の状態を確かめます。Googleマップで自院を検索し、医院名を表示してください。
- 「ビジネスオーナーですか?」のような案内が表示される → プロフィールは存在しますが、オーナー確認が済んでいない状態です。新規登録ではなく「オーナー確認の申請」から進みます
- 医院情報がそもそも見つからない → プロフィール自体がない可能性があります。新規登録から進みます
- 院長のGoogleアカウントでログインすると管理画面が開ける → すでにオーナー確認が取れている状態です。この記事の手順は不要で、情報の正確さの確認に進んでください
なお、以前に誰か(開業時の業者、前任者など)が登録してくれた覚えがある場合は、そのアカウントがどれかを先に当たるのが近道です。別のアカウントで重ねて申請すると、プロフィールの重複や審査の長期化につながることがあります。
登録前に用意するもの
作業は30分ほど見ておくと安心です。先に次の情報を揃えておくと、手続きが止まりません。
- 管理に使うGoogleアカウント:医院用のものを推奨します。院長個人のアカウントでも登録はできますが、スタッフと共有しにくく、代替わりや担当交代のときに引き継ぎで詰まりやすいためです。「医院の公式アカウント」として1つ決め、IDとパスワードの管理方法まで決めておいてください
- 医院の正式名称:看板や公式ホームページと表記を揃えます。「○○歯科」と「○○歯科クリニック」のような表記の揺れは、ここで統一しておくのが後々楽です
- 住所・電話番号:郵便番号を含め、登記やホームページの表記と一致させます
- 診療時間:曜日ごとの診療時間、昼休み、最終受付の考え方を手元に。登録画面では診療時間を入れる工程があります
- 代表カテゴリ:「歯科医院」「歯科クリニック」など、Googleが用意しているカテゴリから選びます。最も実態に近いものを1つ選んでください
登録の手順(新規の場合)
大まかな流れは次の通りです。画面の文言は時期により変わります。
- 管理用Googleアカウントでログインした状態で、「Googleビジネスプロフィール」の公式ページ(google.com/business)または Googleマップから「ビジネスを追加」を選ぶ
- 医院名を入力し、候補が表示されたら自院がないか確認する(候補にある場合は新規作成ではなく、そのプロフィールのオーナー確認に進む形になります)
- カテゴリを選ぶ(後から変更できます)
- 住所を入力する。患者さんが来院できる医院なので、住所は公開される前提で正確に入力します
- 電話番号、ホームページのURLを入力する
- 診療時間を入力する
- 最後に「オーナー確認(本人確認)」の方法が提示されるので、案内に従って進める
入力自体は難しくありません。多くの医院が止まるのは、次のオーナー確認の工程です。
オーナー確認: Googleが提示した方法でしか進められない
オーナー確認は、「その医院の関係者である」ことをGoogleに認めてもらう手続きです。これが済むまでは、診療時間の変更や口コミへの返信はできません。
確認方法は医院ごとに異なり、Google側が提示した方法の中から選ぶ形になります。代表的なものは次の通りです。
- 録画による確認(動画):医院の看板、診療スペース、運営者であることを示すもの(鍵のある場所へのアクセス、業務用の設備など)をスマートフォンで撮影して送信する方法です。近年、この方法が提示されるケースが増えています
- 電話またはテキストメッセージ:登録した電話番号に確認コードが届く方法
- メール:登録したメールアドレスに確認コードが届く方法
- はがき(郵送):登録住所に確認コード入りの郵便物が届く方法。届くまで日数がかかります
「どの方法がいいか」を医院側で自由に選べるとは限りません。画面に表示された方法が、その医院に用意された確認手段です。動画確認が提示された場合は、撮影の案内(何を映すか)が画面に出ますので、それに沿って一度で揃えるつもりで臨むと、差し戻しの往復が減ります。
確認が通るまでの期間は、方法や内容によって変わります。即日で済む場合もあれば、審査に数日かかる場合もあります。申請中の状態でも、プロフィール情報の入力までは進められることが多いので、写真や診療時間の整備は並行して行えます。
オーナー確認でつまずきやすい点
- 住所表記の不一致:建物名や階数の書き方が、他の公的情報と食い違っていると確認が進まないことがあります。入力は、登記や郵便物で使っている表記に寄せてください
- 個人名での登録:プロフィールの「名前」欄には医院名を入れるのが原則です。院長個人の名前や、宣伝文句(「地域No.1」など)を名前に含めることはGoogleのガイドラインに反します
- 重複プロフィール:同じ医院のプロフィールが2つ存在すると、口コミや写真が分散します。オーナー確認を申請する前に、マップ上で重複がないかを必ず確認してください。重複に気づいた場合は、片方への統合や削除をGoogleに申請する形になります
オーナー確認が済んだら、最初にそろえる4つ
確認が取れると、管理画面から情報を編集できるようになります。運用らしいことを始める前に、まず次の4つを実態と一致させてください。これらはすべて、患者さんが来院前に見る情報です。
- 診療時間と休診日:曜日ごとの時間、祝日の扱い。臨時休診の反映方法は運用の話になるため、別記事「診療時間と休診日をGoogle上で正確に保つ運用」で詳しく扱います
- 住所と地図のピンの位置:ピンがずれていると、患者さんが違う場所に案内されます。地図上で自院の入口付近にピンがあるかを確認してください
- 電話番号とホームページのリンク:予約の導線です。番号の転記ミスは意外に多いので、実際にタップして発信テストをするところまで確認を
- 写真:最低限、外観と受付・待合室の写真があると、初めての患者さんが来院イメージを持ちやすくなります。載せるべき写真の分類は、別記事「Googleに載せる医院の写真——種類と更新の目安」で整理しています
ここまで済めば、口コミが投稿されたときに返信できる状態にもなります。返信の運用そのものは、別の記事(口コミ返信の担当と期限、トーン辞書の作り方など)で扱っているテーマです。
費用のこと: 登録とオーナー確認は無料です
念のための確認ですが、Googleビジネスプロフィールの登録とオーナー確認に、Googleへの費用はかかりません。「Googleに登録するには費用が必要です」「オーナー確認の代行をします」といった外部からの営業を受けることがありますが、代行を頼むかどうかは医院の判断として、それはGoogleの料金ではなく業者の手数料です。仕組み自体は無料で、自院で完結できる手続きだという点は押さえておいてください。
「業者に任せてある」という医院の確認点
開業時にホームページ制作会社や開業支援の業者が、プロフィールの登録まで済ませてくれているケースがあります。その場合に確認すべきは1点、オーナー権限が誰のアカウントにあるかです。
業者側のアカウントがオーナーのままだと、医院側では診療時間の変更すらできないことがあります。心当たりがある場合は、次の順で確認してください。
- 医院の管理用アカウントで管理画面を開けるか試す
- 開けない場合は、当時の業者に「オーナー権限の移譲」を依頼する
- 連絡が取れない場合は、プロフィール画面からオーナー権限のリクエスト(申請)の手続きを進める。この場合、現在のオーナー側に通知が行き、一定期間応答がなければ医院側に権限が移る流れが用意されています
権限の所在がはっきりしないまま運用を始めると、口コミへの返信や情報修正のたびに止まります。登録の有無と同じくらい、「誰が鍵を持っているか」の確認が大切です。
よくある質問への回答
Q. 登録したのに、Googleマップで医院が出てきませんオーナー確認が完了するまでは、表示が安定しないことがあります。確認の手続きが完了しているか、管理画面の状態を確かめてください。また、登録直後は検索結果への反映に時間がかかる場合があります。医院名そのものではなく、「地名+歯科」での表示順位は別の話(検索順位の話)なので、ここでは混同しないでください。
Q. 昔の医院名や、前の住所のプロフィールが残っています移転や医院名の変更を経た医院で起こります。古いプロフィールが残っている場合は、情報の修正提案や重複の報告といった手続きで整理できる場合があります。口コミが古い側に付いていることもあるため、消す前に、どちらのプロフィールに何が集まっているかを確認してから進めてください。
Q. 院長の自宅住所で登録してしまいそうです歯科医院は患者さんが来院する実店舗ですので、登録住所は医院の所在地です。自宅を拠点とするような登録形態は、来院型の医院には当てはまりません。入力途中で迷ったら、医院の住所・医院の電話番号という原則に戻ってください。
Q. オーナー確認の審査に落ちましたまず、入力情報(医院名・住所の表記)が実態や公的情報と一致しているかを見直してください。動画確認の場合は、案内された要素(看板、診療スペース、運営の証跡)が一通り映っているかがポイントです。理由が分からないまま何度も申請するより、情報を揃えてから再申請する方が結果的に早く済みます。
もう一歩: 「属性」の設定も合わせて確認する
基本情報が揃ったら、管理画面にある「属性」の項目も見ておくことをおすすめします。属性とは、医院の特徴をGoogleに伝えるための設定項目で、たとえば次のような内容が含まれます。
- バリアフリーの入口や車椅子対応の設備の有無
- 対応している支払い方法(クレジットカード、電子マネーなど)
- 女性医師の在籍など、診療体制に関する情報
属性は、患者さんが医院を比較するときの絞り込みや表示に使われることがあります。実態と違う属性が付いていると、それを頼りに来院した患者さんとの間でズレが起きます。登録のタイミングで一通り目を通し、自院の実態に合うものだけを設定してください。もちろん、実態にないものを良く見せるために設定するのは本末転倒です。
カテゴリについても補足しておきます。代表カテゴリは医院の実態をもっとも表すもの(歯科医院・歯科クリニックなど)を選びます。インプラント専門、矯正歯科といった診療内容に応じたカテゴリが追加で選べる場合もありますが、実際に行っていない診療のカテゴリを付けることは避けてください。カテゴリは検索表示にも影響する要素なので、「患者さんが探すときの目印」としての正確さが求められます。
最後に、医院の説明文(プロフィールに表示される紹介文)も、このタイミングで一度書いておくとよい項目です。医院の成り立ちや診療で大切にしていることを、数行でまとめます。ここでも医療広告ガイドラインの観点は必要で、効果を断定する表現や、他院と比較して優れていると読める表現は避けてください。「地域で長く診療を続けている」「小さなお子さんからご高齢の方まで通っていただいている」のような、事実と姿勢を述べる範囲に留めるのが安全です。迷う表現があれば、専門家への確認を前提にしてください。
アカウントの管理で、最初に決めておくこと
最後に、運用以前の管理体制の話を1つだけ。オーナー確認を取ったGoogleアカウントは、医院のデジタル資産の「鍵」です。
- ログイン情報は院長(または医院の責任者)が把握し、保管場所を決めておく
- 担当スタッフに操作を任せる場合は、パスワードを直接共有するのではなく、プロフィールの「ユーザー管理」機能で権限を付与する形が安全です。退職時の権限削除も、この形なら確実に行えます
- 2段階認証を設定し、確認コードの受け取り先(携帯電話番号)が誰のものかも記録しておく
開業直後はバタバタして、このあたりが「とりあえず院長のスマホで」という状態になりがちです。後から整えるのは手間がかかるため、登録のタイミングで形を決めてしまうことをおすすめします。
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