SMSの文字数と料金の仕組み
短文で収める設計
法人向けのSMS配信は、「文字数」で料金が変わる仕組みです。同じ内容の案内でも、ほんの数文字オーバーしただけで料金が2倍になることがあります。逆に言えば、仕組みを知って文面を作るだけで、無駄なコストはかなり避けられます。
この記事では、通数の数え方と、1通分(全角70文字)に収める文面の組み立て方を整理します。料金の考え方は、定期検診の案内でも予約のリマインドでも共通です。
料金の基本は「通数 × 単価」
法人向けSMS配信サービスの料金は、基本的に「送った通数 × 1通あたりの単価」で決まります。単価はサービスや月間の送信ボリュームによって変わり、幅があります。正確な単価は、利用している(または検討している)サービスの料金表で確認してください。
ここで重要なのは、「通数」の意味です。請求の元になる通数は、メッセージの数ではなく、文字数で決まる区切り(セグメント)の数です。1人の患者さんに送った1本のメッセージでも、文字数が上限を超えれば2通分、3通分の料金になります。
つまり、500人に送る案内でも、全員分が2通分になれば、請求上は1,000通分です。「何人に送ったか」ではなく「何通分で送ったか」がコストを決めます。
70文字の壁: 通数の刻み方
日本語を含むSMSは、1通分=全角70文字が目安です(携帯キャリア共通の基本的な仕様です)。上限を超えた分は、続きの通数として送られます。その際の上限は、次のように67文字ずつ増えていきます。
| 通数 | 上限の文字数(全角) |
|---|---|
| 1通分 | 70文字 |
| 2通分 | 134文字 |
| 3通分 | 201文字 |
| 4通分 | 268文字 |
2通目以降が70文字ではなく67文字ずつなのは、分割したメッセージを元の順序でつなぎ直すための情報が、各通に少しずつ含まれるためです。
この刻み方が生む、実務上いちばん大事な性質はこれです。
71文字も134文字も、料金は同じ(2通分)。そして70文字と71文字の間には、料金がほぼ2倍になる段差がある。
「少し長くなっただけ」という感覚で書いた文面が、実は全員分2通分になっていた、というのがSMSコストの典型的な無駄です。サービスによって細部の仕様が異なる場合があるので、最終的には利用するサービスの仕様とプレビュー表示で確認してください。
落とし穴1: 「半角なら倍入る」は、日本語の文面では使えない
SMSには「半角英数字だけなら160文字まで1通分」という仕様もあります。ただし、これは本文がすべて半角英数字の場合だけです。日本語(全角文字)が1文字でも混ざると、メッセージ全体が全角70文字の数え方に切り替わります。
歯科医院の案内文は当然日本語が中心ですし、医院名やURLに英字が含まれていても事情は変わりません。実務上は「全角70文字で設計する」と決めておくのが安全です。
落とし穴2: 文字数を食うものの正体
文面を作るとき、思ったより文字数が増える原因はだいたい決まっています。
- 改行も1文字として数えます。 読みやすくするために入れた改行が、そのまま通数を押し上げることがあります。
- 絵文字は、種類によって複数文字分を消費する場合があります。 機種によっては正しく表示されないこともあり、業務連絡の文面では使わない方が無難です。
- URLは、そのままの長さで数えます。 予約ページのURLが長いと、それだけで10〜20文字以上を持っていきます。配信サービスの短縮URL機能がある場合は、それを使うのが前提です。
- 医院名と電話番号も当然カウントされます。 「○○歯科クリニックです。」だけで10文字を超えます。開業医の長い医院名ほど、この固定費は重くなります。
- 句読点や全角スペースも、それぞれ1文字です。 当たり前のことですが、文面を整えるために入れた「、」や余白も積み上がります。削る順番を考えるときは、この「固定費」の存在も意識してください。
- 配信停止の案内文を入れる場合は、その分も必要です。 案内系の送信では停止方法の案内が欠かせないため、この文字数は「削る対象」ではなく「最初に確保する枠」として考えてください。
70文字に収める組み立て方
70文字の設計は、「丁寧な文章を圧縮する」作業ではありません。載せる要素を最初から絞る作業です。必須要素は3つだけです。
- 誰からか —— 医院名
- 何の用か —— 検診の時期であること、など用件を一言で
- 次のアクション —— 予約リンク
この3つが入っていれば、案内として成立します。逆に、次のものは真っ先に削る候補です。
- 挨拶の定型文(「いつもありがとうございます」など)
- 理由の説明(「お口の健康を保つため」といった一文)
- 敬語の重なりや、同じ意味の繰り返し
書き換え例
×(長い例)○○歯科クリニックです。いつもありがとうございます。前回の定期検診から6ヶ月が経ちました。お口の健康を保つため、検診とクリーニングをおすすめしています。ご予約はこちらからお願いいたします→[URL]
○(70文字目安)○○歯科です。そろそろ定期検診の時期です。クリーニングでスッキリしませんか。ご予約はこちら→[短縮URL]
×(長い例)○○歯科クリニックです。しばらくご来院いただいておらず、ご連絡いたしました。気になる症状がなくても、定期的なチェックで小さな変化に早く気づくことができます。ご都合のよい日時をお知らせください。
○(70文字目安)○○歯科です。しばらくご来院がないためご連絡しました。検診だけでも大丈夫です。ご予約はこちら→[短縮URL]
削ったのは「失礼」な部分ではなく、案内の成立に要らない部分です。SMSでは、短い文面そのものが読み手への配慮になります。
2通分を許容するケース
もちろん、70文字に収めることが常に正解なわけではありません。次のような場合は、2通分を前提に設計して問題ありません。
- 初めてSMSで連絡する相手で、配信停止の案内など、入れるべき要素が多いとき
- 予約のリマインドで、日時に加えて注意事項まで伝える必要があるとき
- 対象人数が少なく、文面の分かりやすさの方がコスト差より大事なとき
大事なのは、「気づいたら2通分だった」ではなく「2通分と決めて送った」にすることです。対象人数が多い医院ほど、この差は月々の請求にそのまま効いてきます。
送信前に文字数を数える運用
最後に、現場の運用として2つだけ決めておくと事故が減ります。
- 送信前に、配信サービスのプレビューで通数を必ず確認する。 多くのサービスでは、作成画面に文字数と通数が表示されます。「文面を承認する人は、通数も一緒に確認する」と決めておくと、2通分への意図しない超過に気づけます。
- 文面は「型」として保存し、型ごとに通数をメモしておく。 毎回ゼロから書くと、通数はその時々の書き手の感覚に左右されます。承認済みの型を使い回す形にすれば、コストの見通しも立ちます。
- 新しい型を作ったら、まずスタッフ宛にテスト送信して、実際の表示と分割のされ方を確認してください。
要素ごとの文字数の目安
70文字の設計では、「どの要素が何文字くらい食うか」の感覚を持っておくと組み立てが速くなります。あくまで目安ですが、だいたいの配分は次のとおりです。
| 要素 | 文字数の目安 |
|---|---|
| 医院名+「です」 | 8〜15文字 |
| 用件(一言) | 15〜25文字 |
| 予約リンク(短縮URL) | 10〜20文字 |
| 配信停止の案内 | 15〜20文字 |
| 電話番号(入れる場合) | 12〜15文字 |
合計してみると、配信停止の案内まで入れて70文字に収めるには、用件をかなり絞る必要があることが分かります。「医院名・用件・リンク」の3要素に絞るという先ほどの話は、この配分の裏返しです。電話番号は、リンク先のページに載せておけば文面から外せることが多い要素です。
コストの試算: 通数が変わると請求はどう変わるか
単価はサービスごとに異なりますが、計算の形は共通です。仮に1通分の単価を30円として、500人の患者さんに案内を送る場合を試算してみます(あくまで計算方法を示すための例示で、実際の単価は利用するサービスの料金表で確認してください)。
- 全員1通分で送れた場合: 500 × 30円 = 15,000円
- 全員2通分になった場合: 500 × 2 × 30円 = 30,000円
差はそのまま2倍です。対象が2,000人規模になれば、この差は60,000円になります。定期検診の案内のように毎月繰り返す送信では、この差が年間で積み上がっていきます。「あと数文字」を削る作業が地味に見えて効くのは、この構造があるからです。
再送のときも、通数は効いてきます
呼び戻しでは、未反応の方への再送を行うことがあります。再送まで含めると、1人の患者さんにかかる通数は「初回+再送」の合計です。初回が2通分の文面だと、再送と合わせて1人あたり4通分になります。対象人数と再送回数を掛け合わせると、文面の通数がコスト全体に与える影響は、初回だけを見た印象より大きくなります。文面の型を決めるときは、再送まで含めた1人あたりの通数で見ておくのが現実的です。
「長く書きたい」ときは、媒体を変える
70文字に収める設計をしていると、「もっと丁寧に説明したい」という場面が出てきます。そのとき、SMSを長くする以外の選択肢も持っておいてください。詳しい説明が要る内容は、LINEの友だち登録がある患者さんにはLINEで長めに送り、SMSは「お知らせ+リンク」に徹するという振り分けです。SMSの役割は「気づいてもらうこと」で、説明はリンク先のページやLINEが担う。この役割分担ができると、SMSの文面は自然に短くなります。
短縮URLを使うときの注意
URLの短縮は文字数対策の定番ですが、使い方に1つ注意があります。見覚えのない短縮URLは、患者さんから見ると「本当に医院からの連絡なのか」を疑う理由にもなりえます。配信サービスの短縮機能を使う場合も、文面の冒頭に医院名を明示して、誰からの連絡かを先に示してください。また、短縮後のURLは必ず自分で開いて、予約ページに正しく届くことをテスト送信で確認してください。リンクが切れたSMSは、料金だけがかかって何も生みません。1通の無駄は小さくても、毎月の送信では積み上がります。
サービスによって違う点もあります
この記事の数字(70文字、67文字ずつの刻み)は、国内の一般的なSMSの仕様に基づく目安です。配信サービスによっては、扱える最大の通数や、文字数の数え方(絵文字の扱いなど)に違いがある場合があります。海外の番号宛ての送信は仕組みが異なりますが、歯科医院が患者さんへ送る範囲では通常問題になりません。導入時には、利用するサービスの仕様で「1通分の文字数」と「長文のときの刻み」を一度確認しておくと、その後の文面づくりがぶれません。
送信前のチェックリスト
- プレビューで通数を確認したか(意図した通数に収まっているか)
- 医院名・用件・リンクの3要素が入っているか
- 配信停止の案内が漏れていないか
- リンクを実際に開いて、予約ページに届くか
- 改行や絵文字で、文字数が想定より膨らんでいないか
- スタッフ宛のテスト送信で、実際の表示を確認したか
通数を増やさずに、伝える量を増やす工夫
文字数を削る話ばかりしてきましたが、「伝える量を増やしたい」場合の工夫もあります。ポイントは、SMS本文の外に情報を逃がすことです。
- リンク先のページに情報を置く。 SMSは「気づいてもらう」ための入口と割り切り、詳しい案内(検診の内容、持ち物、アクセスなど)は予約ページや医院サイトに載せておきます。本文に書くより、リンク先で読んでもらう方が、患者さんにとっても読みやすい形です。
- 次回以降の文面で補う。 1通に全部を入れようとせず、初回は用件だけ、再送では切り口を変える、というように、複数回の連絡全体で伝える設計にします。
- 電話番号は「載せるかどうか」を要素として選ぶ。 リンクから予約できる設計なら、電話番号はリンク先にあれば足りることが多いものです。逆に、電話での予約が中心の医院では、リンクより電話番号を優先して残す判断もあります。医院の予約導線に合わせて、残す要素を選んでください。
「短くする」ことは「雑にする」ことではありません。要素を選ぶ作業だと思ってください。
まとめ
SMSの料金は「何人に送ったか」ではなく「何通分で送ったか」で決まります。1通分の目安は全角70文字で、71文字から料金が一段上がります。必須要素は医院名・用件・予約リンクの3つだけです。まずこの型で作り、理由があるときだけ2通分を使う——それだけで、SMSのコスト管理はかなり回るようになります。文面を作るたびに通数を一度意識する習慣こそが、結果として一番の節約になります。
シカデスクは、歯科医院専門のフロントデスク運用代行です。定期検診の呼び戻しでは、SMS文面の作成も含め、対象の抽出・文面の作成・送信・「戻った予約と来院を数えての報告」までを、すべて医院の承認制で運用します。文面の下書きはAIも使いますが、患者さんとの直接の接点は人間が担う、というのが私たちの原則です。
「うちの医院だと、どれくらい呼び戻しの余地があるのか」を数字で見たい方には、公開情報だけで作る無料診断があります。患者さんの個人情報は一切不要です。まずは数字からご覧ください。
無料診断のご案内
無料診断を受ける