呼び戻しても戻らない患者さんへの2回目・3回目の設計
定期検診のご案内を送ったのに、反応がない。このとき受付の現場で迷うのは、「もう一度送っていいのか」「送るとしたらいつ、どんな文面でか」「何回まで送っていいのか」です。
ルールが決まっていないと、対応は二極化します。熱心な担当者は何度も送ってしまい、慎重な担当者は1回でやめてしまう。どちらも患者さんとの関係を考えれば、あまり良い形ではありません。
先に基本形を示します。1つの検診サイクルにつき「初回+再送1回」まで。再送は初回から2〜3週間空け、文面は変える。3回目は原則送らず、電話フォローの対象として医院内で引き継ぐ。 この記事では、この基本形の理由と、例外の扱い方を整理します。
「反応がない」は「断られた」ではない
設計の前に、無反応の読み方をそろえておきます。案内を送って反応がない理由は、大きく3つあります。
- 見ていない・見落とした。 SMSも郵便も、届いたタイミングで埋もれることは珍しくありません。
- 見たけれど、今は動けない。 仕事や家庭の都合で「そのうち」と思ったまま、日が経って忘れている状態です。
- 今は行くつもりがない。 症状がない、間が空いて行きづらい、などの理由で先送りしている状態です。
このうち最初の2つは、時間を置いた再送で動く余地があります。「見落とした方への再案内」という位置づけなら、再送は催促ではなく親切な連絡です。逆に、3つ目の方に短い間隔で何度も送ると、今度は本当に煩わしさが先に立ちます。だからこそ、回数と間隔に線を引く必要があります。
2回目(再送)の設計
間隔は2〜3週間
再送は初回の送信から2〜3週間後が目安です。翌日や数日後の再送は「矢継ぎ早」と受け取られやすく、1ヶ月以上空けると今度は検診時期そのものがずれてしまいます。
月次で呼び戻しを運用している医院なら、「月初に初回、月半ばにその再送」というリズムに組み込むと、作業としても回しやすくなります。
文面は「変える」のが原則
再送でやってはいけないのは、初回とまったく同じ文面をそのまま送ることです。受け手には「また同じ文が来た」と映り、迷惑メール的に処理されやすくなります。再送の文面では、次の2点を変えます。
- 「先日ご案内しました」の一言を入れる。 再送であることを隠さず、見落としへの再案内だと分かる形にします。
- 戻るハードルを一段下げる。 「検診だけでも大丈夫です」「まずはお電話で相談だけでも」など、最初の一歩を小さくします。
文面の型は、資料DL「リコール SMS / LINE 文例集」の再送パターン(D)がそのまま使えます。媒体を変える手もありますが、まずは同じ媒体で文面を変える再送が基本です。媒体ごとの得意・不得意より、「2回目は言い方を変える」ことの方が効くことが多いです。
再送の対象から外す人
再送の対象は「初回を送った方のうち、まだ予約が入っていない方」ですが、次の方は理由を問わず外します。
- 初回のあとに予約が入った方(来院済みの方を含む)
- 配信停止や連絡不要の意思を示した方
- 初回の送信で届かなかったことが分かった方(番号違いなど。媒体を変えて再挑戦する場合は、その旨を記録してから)
- 治療が始まった方、次回予約が別途決まった方
この除外を怠ると、「予約したのにまた案内が来た」という、医院の管理が疑われる連絡になってしまいます。再送の直前に、初回リストと最新の予約状況を突き合わせる一手間が必須です。
3回目の扱い: 原則送らない
2回送って反応がなければ、その検診サイクルでの案内は終了です。3回目を送らない理由は明確で、得られる反応に対して、関係を損なうリスクが上回るからです。
ただし、「二度と連絡しない」という意味ではありません。扱いは次の2つに分かれます。
電話フォロー対象リストへ渡す
どうしても声をかけた方がよい方(長く通っていただいた方、間隔が大きく空いている方など)は、「電話フォロー対象リスト」として切り分けます。電話は医院側のスタッフが、様子をうかがいながらかけるものです。メッセージの一斉送信とは性質が違うので、ここは機械的に送る領域から外し、人間の接点として扱います。リストアップまでが仕組みの仕事、電話そのものは人の仕事、という線引きです。
次のサイクルで「初回」として再登場する
そのサイクルで戻らなかった方も、次の検診時期(例えば半年後)の対象リストには、改めて候補として現れます。そのときは過去の無反応を引きずらず、その時期の通常の案内として送ります。「前のサイクルで2回送って反応がなかった方」に、次のサイクルでまで遠慮する必要はありません。間隔が大きく空いていれば、しつこさにはなりません。
セグメント別の回数の目安
最終来院からの期間によっても、粘り方を変えます。
| 区分 | 初回 | 再送 | その後 |
|---|---|---|---|
| 3〜6ヶ月 | 送る | 2〜3週間後に1回 | 次のサイクルへ |
| 6〜12ヶ月 | 送る | 2〜3週間後に1回 | 電話フォロー候補に入れるかは医院の判断 |
| 12ヶ月以上 | 送る(文面はやわらかく) | 原則なし。送る場合も1回まで | 電話フォロー対象へ。はがき併用も可 |
12ヶ月以上空いた方への再送は、初回の文面自体を「行きづらさへの配慮」中心にしているため、重ねて送るより、電話やはがきなど媒体を変えた一手の方が合っています。
記録に残すこと
再送の運用で地味に効くのが、「誰に・何回目まで送ったか」の記録です。対象リストに次の項目を持たせておくと、事故と混乱が減ります。
- 初回の送信日と媒体
- 再送の送信日(送った場合)と媒体
- 反応の有無(予約・来院は計測側の記録と突き合わせる)
- 除外した場合はその理由(停止希望、番号違い、電話フォローへ移行、など)
この記録がないと、次のサイクルの対象抽出のときに「この方、前回何回送ったっけ」が分からず、送りすぎも送らなすぎも起きます。記録は立派なシステムである必要はなく、リストの横に列を足すだけで十分です。
やってはいけない再送のパターン
最後に、現場で起きがちなNGを挙げます。
- 短い間隔で同じ文面を繰り返す。 しつこさの印象が強く残り、配信停止やブロックを招きます。
- 催促調の文面にする。 「まだご予約が確認できていません」といった、相手の行動を責める言い方は避けます。再送はあくまで再案内です。
- 全員に一律で再送する。 予約済みの方への誤送信は、再送で一番起きやすい事故です。直前の突合を省略しないでください。
- 反応がない方を「質の悪い患者」と捉える。 無反応は情報であって、評価ではありません。タイミングが合えば戻る方も多くいます。
まとめ
- 基本形は「初回+再送1回」まで。再送は2〜3週間空け、文面を変えて「再案内」と分かる形にする
- 再送の直前には、予約済み・停止希望の方を必ず除外する
- 3回目は原則送らない。電話フォロー対象リストへ渡すか、次のサイクルで通常の案内として再登場させる
- 「誰に何回送ったか」をリストに記録し、次の対象抽出につなげる
シカデスクは、歯科医院専門のフロントデスク運用代行です。定期検診の呼び戻しでは、対象の抽出・文面の作成・送信・再送の設計から、「戻った予約と来院を数えての報告」までを、すべて医院の承認制で運用します。文面の下書きはAIも使いますが、患者さんとの直接の接点は人間が担う、というのが私たちの原則です。電話フォローが必要な方はリストとして医院にお渡しし、電話自体は医院側で行う形にしています。
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